「転職したい」「今の職場から抜け出したい」と思い立つのは、それほど珍しいことではありません。厚生労働省がまとめた近年の動向でも、20代・30代を中心に転職経験者の割合は上昇傾向にあるといわれています。実際に「人生100年時代」とも呼ばれる昨今、キャリアチェンジへのハードルは年々下がっているように見えます。しかし、気軽に転職を考えられるようになった反面、「せっかく転職したのに、前の会社より悪くなった…」「思ったイメージと違って後悔している」といった声もよく耳にするのです。
本記事では、筆者である私自身が“実際にやらかしてしまった”転職の失敗エピソードを5つ紹介します。転職に関する情報は世に数多く存在し、「成功事例」をまとめたサイトやブログは星の数ほどありますが、あえて**「失敗談」**を赤裸々に公開するメディアはまだ少数派です。けれども、本当に転職を成功させたい方にこそ「失敗を未然に防ぐヒント」を得てもらうために、体当たり(?)で経験した私の5つの後悔ポイントを共有します。
この記事を読めば、
「あ、こんな落とし穴があるのか…」
「同じミスをやらかさないよう気をつけよう」
「それでも転職が必要なときは、プロに頼むのもありだな」
と、具体的な行動や考え方のイメージがつかめるはずです。特に「20代第二新卒」「30代管理職・リーダー職」「IT業界経験者」でこれから転職を考えている方に、心から読んでいただきたい内容となっています。最終的には「失敗を回避するひとつの方法」として、転職エージェントなど専門家の力を借りる道も示唆します。私が同じ過ちを繰り返さないために学んだことを、どうぞ転職活動の参考にしてください。
【失敗談1】在職中に内定辞退して無職期間が生まれた
無計画な「内定辞退」から始まった不安な日々
私が最初にやらかしたのは、新卒で勤めて2年目になった頃のこと。エンジニア職としてそこそこ忙しく働きながら、なんとなく「もっと自分に合う会社があるんじゃないか?」と思い、在職中に求人サイトを覗いたのがきっかけでした。
幸い(?)すぐに書類選考が通り、面接まで進んでポンポンと内定をもらえたのですが、当時はまだ若かったこともあり「とりあえず入ってみて合わなかったらどうしよう…」という不安や、家族からの「本当にそこで大丈夫なの?」という心配などに押され、内定承諾をズルズルと保留してしまったのです。
そしてある日、内定先から「早めに最終意思を教えてください」と連絡が来たのですが、覚悟が決まらず、思わず「やっぱり辞退します」とメールで伝えてしまいました。こうして内定辞退という道を取ったのですが、実はその時点で既に今の会社への退職意思を周囲に漏らしており、部署内も「辞めるやつ」扱いになってしまっていたのです。
結果的に、なぜか「無職期間」が発生
本来なら、転職先が決まってから在職中の会社に退職届を出すのがセオリー。ところが私の場合、内定先を辞退したにもかかわらず「もう会社に居場所がない」「早く辞めたい」という気持ちが先行し、辞退の数週間後に会社を退職してしまいました。
今思えば、これが最大の失敗。辞めた時点で確かな行き先がない状態だったため、想定外の「無職期間」ができてしまったのです。結局、急いでほかの求人に応募してもそう簡単に決まらず、貯金を切り崩しながら不安定なフリーター暮らしを数カ月送る羽目になりました。
この失敗から得た教訓
- 在職中に辞退するなら、次の内定先を確保してから
転職市場は経験やタイミングで採用ニーズが変わります。無計画な内定辞退は、結果的に自分自身を追い詰める原因に…。とくに若手であっても「次が見つかりやすいだろう」と楽観視するのは危険です。 - 社内に退職の意志を漏らすタイミングは重要
転職活動中、内定が出たわけでもない段階で周囲に言いすぎると、職場での立ち位置が複雑になる恐れが大きいです。きちんと転職先が定まってから上司や同僚へ伝えるほうが無難。
【失敗談2】エージェントを“丸のみ”してミスマッチ入社
「転職エージェントに任せればうまくいく」と思い込んだ
次にやらかしたのは、上記の無職期間に焦りまくって転職エージェントに相談したときです。転職エージェント自体は素晴らしいサービスなのですが、当時の私にはエージェントを活用するための「心構え」が足りませんでした。
担当者から紹介された求人をろくに吟味せず、「エージェントがおすすめってことは自分に合ってるんだろう」と勝手に思い込み、面接日程や応募書類の用意もすべてエージェントに丸投げ。要するに、自分が本当にどんな会社に行きたいのかを考える前に、エージェントの提案どおりに流されてしまったのです。
結果的に「ミスマッチ入社」で再転職へ
そのまま順調に(?)内定をもらい、私はすぐに「お願いします!」と入社を決めました。しかし、実際に入ってみると「社内の雰囲気が合わない」「業務内容が想像より古いシステムばかり」「想定していたキャリア形成と全然違う…」といった不満が噴出。もともとITエンジニア志望だったのに、入社後は営業支援のデスクワークがほとんどで「えっ、聞いてた話と違う」という状況でした。
これは私と会社双方にとっての不幸でした。結局、またしても短期離職となり、私は再び「転職」するハメに…。エージェントにすべて任せきりにし、「自分の軸」をきちんと言語化しなかったツケが大きかったと思います。
この失敗から得た教訓
- 「自分は何を求めているか」を言葉にしてエージェントに伝える
エージェントは求人を紹介してくれますが、最後の決定権者は自分自身。キャリアプランや働き方の希望を明確にしていないと、どれほど親身なエージェントでも的外れな提案になりがちです。 - 企業研究はエージェント任せにせず、自分でも徹底リサーチを
「エージェントがすすめる=自分に合う」わけではありません。例えば社風・社員の口コミサイト、SNS、OB訪問など、あらゆる手段で情報を集めてから結論を出すことが重要です。
【失敗談3】給与・待遇ばかり優先して企業カルチャーを軽視
キャリアアップしたい!でも実は「年収アップ」目的だった
3度目の転職(前述のミスマッチ入社先から再転職)のとき、私は「もう失敗は嫌だ!次はしっかりキャリアアップするぞ!」と意気込んでいました。しかし、内心は「転職するなら給料を上げてやる!」という下心がかなり強かったのも事実…。スキルを身につけたい、より成長したいと言いつつ、実際には求人情報の「年収欄」ばかりに目が行っていました。
年収は上がったけど、社内の雰囲気に馴染めずストレス
結果的に、手厚い福利厚生・高めの年収を提示してくれたA社に入社することに。確かに入社直後は「年収○万円アップだ!」「オフィスがキレイだし、福利厚生も豪華」とテンションが高まったのですが…
働いてみると、今度は**「組織のカルチャーが自分に合わない」という壁に直面しました。たとえば、上司と部下の関係がかなり上下厳格な空気で、風通しが悪く感じられたり、全体的に保守的な風土で新しい提案が通りにくかったり。また、周囲は大企業出身者やMBAホルダーが多く、実力主義というより「経歴やタイトル重視」の風潮が強かったのです。
私はITエンジニアらしく「改善があれば意見を自由に提案して、すぐにトライアンドエラーしたい」と考えるタイプだったので、この大企業体質にストレスを覚えました。退勤後も「なんか居心地が悪い…」と思い悩む日々が続き、結果的に業務へのモチベーション低下**にもつながったのです。
この失敗から得た教訓
- 企業のカルチャーや組織風土は、待遇と同じくらい重要
収入面が良くても、働くスタイルや価値観が合わなければ長く続きません。社風は求人票だけではわかりにくいので、面接時やOB訪問、SNS上の社員の声などでしっかり把握する工夫が必須です。 - 「なんとなく違和感」を自分の中で言語化する
入社前から「なんか堅苦しそう」という印象があったのに、年収アップの誘惑に負けて見て見ぬふりをしていた自分がいました。待遇面よりも「自分はどんな環境で力を発揮できるか」を優先したほうが、結果的に成功しやすいです。
【失敗談4】面接対策を怠って、何度も落とされた
書類審査OKでも、面接リテラシーが欠如
今まで紹介した失敗談は、入社後に発覚した「ミスマッチ」系でしたが、実は私は「面接落ち」を連発した時期もあります。当時はスキル的にそこまで不足しているわけではなく、履歴書や職務経歴書は通過する。でも面接に行くと、「合格には至りませんでした」という連絡ばかり…。
理由は簡単で、面接対策をほぼしていなかったのです。自己PRや志望動機を聞かれても、その場しのぎで思いついたことを話していたせいで、受け答えが曖昧。特に「転職理由」や「前職での経験」をどのようにアピールするかを整理していなかったため、「何だか軸がブレている」「本当にうちで働きたいの?」と受け取られたのでしょう。
「一次面接で落ちる」はダメージが大きい
実際、一次面接で落ちると精神的ショックがけっこう大きいものです。「あんなに求人を探して応募したのに…」「自分には価値がないのかも」と自己否定感に陥ることもありました。これが繰り返されると、モチベーションは下がり面接対策にも力が入らなくなるという悪循環に…。
しかし面接は「慣れ」が大事です。少なくとも、基本的な質問(転職理由・志望動機・職務内容の強みなど)には説得力のある答えを準備しておくことが必須。軽視していた私は、その重要性を身をもって痛感しました。
この失敗から得た教訓
- 面接は「台本」こそ大事。想定問答を用意して伝え方を磨く
全部を暗記する必要はありませんが、「何を軸に、どんな働き方がしたくて転職を考えているのか」をまず自分で整理し、面接官に端的に伝えられる練習をしましょう。 - 第三者のフィードバックが有効
私は失敗が続いたあと、友人に模擬面接をお願いしたり、転職エージェントの担当者にアドバイスをもらったりして軌道修正しました。自分一人では気づかない癖や言葉足らずな点を指摘してもらえるのは大きいです。
【失敗談5】退職交渉をあいまいにして、前職ともめた
「円満退職でお世話になった人間関係をキープしたい」はずが…
最後に紹介するのは、退職手続き・交渉の失敗です。あるとき私は比較的長く在籍していた会社を離れるにあたり、上司へ退職意思を伝えました。最初は「お世話になったから、なるべく円満に辞めたい」と考えていたのですが、上司から「年度末までいてくれないと困る」と引き止められ、仕方なく曖昧に「考えます」と返事をしてしまったのです。
しかし、私自身の転職先は翌月からの入社が内定しており、年度末まで待つ余裕はなかった。結局ギリギリまで引き止められた挙句、説得に応じられないまま退社が決定。上司とは気まずい雰囲気になり、結果的に「後任への引き継ぎはどうする?」など現場が混乱する事態を招きました。
本来得られたかもしれない「良好な関係」や「人脈」が台無しに
私は会社を去ったあとも、前職の仲間とは時々情報交換したり、お互いのスキルを活かしてプロジェクトを進められるような関係を望んでいました。ところが最後の退職交渉がこじれたせいで、当分連絡がとりにくい状態に…。「あいつは急に辞めて引き継ぎも適当だった」という評判が社内で広まってしまい、以前のように気軽に連絡を取れる空気ではなくなりました。
今思えば、もっと早い段階で「入社日の関係で○月末にはどうしても退職したい」と明確に伝え、引き継ぎスケジュールもきっちり決めるべきでした。お世話になった相手に遠慮して曖昧にした結果、かえって不義理な形になってしまったのです。
この失敗から得た教訓
- 退職希望日・引き継ぎ期間を先に自分で設計し、会社と話し合う
ただでさえ退職交渉はストレスフルなので、事前に「◯月◯日付で退職したい」「そのために◯週間は後任への引き継ぎを行う」など具体的にプランを示すとスムーズです。 - 上司や人事とのコミュニケーションはオープンかつ誠実に
曖昧に先延ばしにすると、どこかで不満やトラブルが噴出します。あいまいな表現はせず、会社に迷惑をかけない最低限の誠意を尽くしつつ、自分の新しいスタートも守ることが大切です。
転職失敗を防ぐための教訓:共通して大切な3つのポイント
ここまで私の「5つの痛い失敗談」をご紹介してきました。一見バラバラのようですが、改めて振り返るとどのケースにも共通する重要なポイントがあります。それが、以下の3つです。
1. “転職の軸”を言語化しておく
- 「何がやりたいのか」「どんな働き方を望むのか」を事前に整理する
自分に明確なビジョンがないまま転職活動を始めると、どうしても他人に流されがちです。大手転職エージェントの担当者は優秀ですが、すべてお任せではミスマッチが起こりやすいのが現実。たとえ第二新卒で経験が浅くても、「自分はどう働きたいか」を少しでも形にしておくことで、紹介される求人との相性や将来像を判断しやすくなります。
2. ネガティブ情報や“違和感”を見落とさない
- 企業の良い面だけでなく、不安要素や社風の実態を徹底的に調べる
給与や待遇が魅力的に見えても、そこで長く働けるイメージがわかないなら要注意。面接やOB訪問、口コミサイト、SNSの社員投稿など多角的にリサーチしておきましょう。直感的に「ここは合わないかも」と思うところは、どんなに好条件でも慎重になるべきです。
3. “書類”と“面接”の準備を丁寧に行う
- 転職は「何ができる人なのか」を短時間で示す勝負でもある
書類は第一印象を左右する最初のカギ。履歴書・職務経歴書の書き方を侮らないでください。さらに面接では志望動機・退職理由・自己PRなどを端的に伝える力が求められます。しっかり対策をし、できれば第三者からアドバイスをもらうと一気に精度が上がります。
まとめ:プロの力を借りる選択肢も視野に入れよう
私が実際にやらかした5つの失敗談と、その裏にある教訓をお伝えしました。もちろん、すべての人が同じ罠にハマるわけではありませんが、転職という大きな決断には多くのリスクと落とし穴が潜んでいます。「自分は大丈夫」と高をくくらず、ちょっとでも不安や分からないことがあれば、転職エージェントやキャリアコーチングサービスといった専門家に相談するのも賢い方法です。
プロの力を借りるメリット
- 客観的な市場価値と適正を分析してくれる
自己分析だけでは偏りが生まれがちですが、キャリアの専門家は第三者の視点で強み・弱みを整理してくれます。 - 書類や面接の対策が手厚い
志望動機の作り方や企業研究の方法など、ノウハウが豊富。特に「書類審査は通るけれど面接で落とされる…」という方はエージェントのサポートで大きく改善することがあります。 - 求人の“生の情報”をもらえる
転職サイトには書かれていない企業の社風や職場環境を把握できるのは大きなアドバンテージです。求人票には出てこない「ここは若手が活躍しやすい」「リモートワーク率が高い」といったリアルな情報を教えてもらえることも珍しくありません。 - 給与交渉・入社日の調整を間に入って行ってくれる
自分で直接交渉しにくい年収や入社時期なども、エージェントなら企業との間に立ってサポートしてくれます。退職時のスケジュール調整も相談しやすいです。
信頼できるサービスを上手に使おう
- 若手・第二新卒向けなら…
「マイナビジョブ20’s」「ハタラクティブ」「第二新卒エージェントNEO」などが有名。フリーターや既卒でも歓迎してくれるところが多く、履歴書添削や面接対策を無料で行ってくれます。 - IT経験者向けなら…
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有料のキャリアコーチングサービス(たとえば「マジキャリ」「ポジウィルキャリア」など)で、マンツーマンの手厚いサポートを受ける手もあります。少し投資は必要ですが、その分スピーディーに転職成功しやすいというメリットが期待できるでしょう。
この記事のまとめ
- 失敗事例は人に言いづらいものの、“共有こそが最大の学び”になる
- 「内定辞退→無職期間」「エージェント任せ」「待遇ばかり重視」「面接対策不足」「退職交渉トラブル」の5つが私の苦い経験
- 事前の自己分析・企業研究・面接準備、そして誠実な退職交渉が転職成功の鍵
- 迷ったら転職エージェントやキャリアコーチングでプロに相談するのも良い方法
一度の転職に失敗したからといって、その後のキャリアすべてが台無しになるわけではありません。しかし、できるだけ遠回りや苦い思い出は避けたいもの。どうか私の失敗談を反面教師にして、あなたの転職が充実した一歩となるよう役立てていただければ幸いです。
もし「自分も同じような失敗をしそうで怖い…」「短期離職を重ねているからこそ、次はきちんと検討したい」という方がいれば、ぜひ信頼できるプロの力を借りる道を考えてみてください。最終的に決断するのは自分自身ですが、正しいサポートを得るかどうかで転職活動の質は大きく変わるはずです。
あなたにとって後悔のない転職が叶えられるよう、心から応援しています。しっかりした準備と情報収集、そして時には周りのサポートを受けながら、一緒に理想のキャリアを手に入れましょう。